十月の土は、夏より冷たく、少し湿っています。チューリップやスイセンの球根を植える穴を掘り、指先で土を寄せ、水をやる。台所では、鍋が火にかかる時間が長くなります。根菜を洗い、皮をむき、煮込みの合間に洗い物をする。秋は、手が土と水と熱に触れる季節です。
水仕事の前に手袋をする、湯温を上げすぎない、といった予防の話は、別の記事で書きました。けれど、現実には手袋をはめ忘れ、あるいは土の感触を楽しみたくて素手で植え、気づけば手の甲が白く粉をふいている、ということが起こります。
この記事の主役は、作業が終わったあとの手です。土、水、洗剤、熱に触れたあとの手に何が起きているか、そしてそこから手を戻す四つの手順を、順に書いていきます。
作業のあとの手に起きていること
土は、手の水分を吸います。乾いた土も湿った土も、皮膚の表面にある皮脂膜をこすり取り、細かな粒子が爪のまわりや関節のしわに入り込みます。庭仕事のあとの手がざらつくのは、汚れているだけでなく、乾いているからです。
水と洗剤は、皮脂膜を溶かして流します。食器を洗い、まな板を流し、鍋を磨く。繰り返すほど、角質層の水分を抱えていた膜が薄くなり、洗い終えた直後からつっぱりが始まります。熱いお湯は、それをさらに早めます。
そして熱。鍋の湯気、オーブンの扉、揚げ物の油はね。熱は手の水分を蒸発させ、手の甲の皮膚は顔より薄いぶん、乾きを早く感じます。作業の直後の手は、一日の中でもっとも潤いを失った状態にあると考えてよいでしょう。
予防のためには、皿洗いや掃除、ガーデニングで手袋を使うことが勧められています。手袋は手を完全に乾かしてからはめ、パウダーフリーやラテックスフリーのものを選ぶと刺激が少なくなります。予防の詳しい話は 水仕事と手を守るコツ に譲り、ここからは作業後の手順に進みます。
戻す手順、四つの動き
作業のあとの手入れは、順番を決めておくと迷いません。Soie が提案するのは、次の四つです。
- ぬるま湯で洗う。土や油を落としたいときほど熱いお湯を使いたくなりますが、熱は皮脂を奪います。ぬるま湯で、やさしい石けんをよく泡立て、泡で包むように洗います。
- 爪まわりの土を、こすらずに落とす。爪の生え際や指の側面に残った土は、泡をのせて少し置き、指の腹でなでるように落とします。硬いブラシで強くこすると、いちばん乾きやすい爪まわりの皮膚を傷めます。
- 十分にすすぎ、押さえて拭く。石けんが残ると荒れの原因になります。すすいだら、タオルをこすらずに押し当て、水滴を残さないようにします。指の間と爪まわりは、とくに水が残りやすい場所です。
- すぐに美容液をなじませる。拭いた直後、手がまだやわらかいうちに、パール粒一つから二つを手の甲に取り、両手を合わせて広げます。乾ききってから塗るより、この数十秒の差が手触りを分けます。
四つの動きをつなげても、二分とかかりません。大切なのは、作業の終わりに「戻す」ための時間が組み込まれていることです。土を払って次の用事に向かう前に、洗面所に寄る。それだけで、翌朝の手は違います。
爪まわりと関節に、少し長く
美容液を広げるとき、庭仕事や料理のあとは二か所に時間をかけてください。ひとつは爪まわりです。土が入り込み、水に長く触れた爪のまわりは、ささくれや乾きがもっとも出やすい場所です。使い方の最後に、爪のまわりを軽く押すようにマッサージします。
もうひとつは指の関節です。球根を植える動き、包丁を握る動き、鍋をつかむ動きで、関節の上の皮膚は何度も伸び縮みしています。そのぶん乾くと細かなしわが目立ちます。指を一本ずつ軽くさするように広げると、しわの溝にも潤いが行き渡ります。
手の甲と手のひらでは、肌の性質が違います。手の甲は皮脂が少なく乾きやすく、手のひらは厚い角質層で守られています。美容液は手の甲から指先、爪まわりへとなじませるのが基本です。
夜に持ち越さない
庭仕事や煮込みの日は、夕方から夜にかけて手の乾きがぶり返すことがあります。作業の直後に戻した潤いも、そのあとの夕食の支度や洗い物で、もう一度流れてしまうからです。一日の終わりに、もう一度「洗う→潤す」を行ってください。
乾きが強い夜は、美容液をなじませたあとにお手持ちのハンドクリームを重ねるか、保湿のあとに綿の手袋をして眠るのもひとつの方法です。手袋は、手をすっかり乾かしてからはめてください。赤みやかゆみが続く場合は、皮膚科医に相談してください。
Soie の道具立て
Soie の エンライトハンドセラム は、手のためだけに設計した美容液です。EGF・KGF(整肌成分)とセラミド5種・ペプチド類(保湿成分)を配合し、ベタつきを残さずさらりとなじむので、台所に戻ってすぐ鍋の蓋に触れても気になりません。30mL のボトルは、台所の窓辺や勝手口のそばに置けます。洗うたびに潤うモイストフレグランスハンド&ボディソープで土や油を落とし、そのまま美容液へ。秋の作業の終わりに、この二分を。
球根は、春に咲きます。鍋は、煮込むほど味が深まります。手も同じで、作業のあとに戻す習慣を積み重ねた分だけ、季節が変わるころに違いが見えてきます。
