「ハンドセラムとは何か」「日本のハンドセラムは何が違うのか」。英語で検索されるこの二つの問いに、日本語で答えてみます。日本語で暮らしていると、手の美容液という言葉はすでに洗面所に馴染んでいますが、英語圏では、まだ説明を必要とする言葉です。
顔のスキンケアに「美容液」という段階があることは、日本では当たり前に受け入れられています。化粧水のあと、クリームの前。その段階を手にも用意する、というのがハンドセラムの発想です。小さな発想に見えて、手の扱い方を変えます。
この記事では、ハンドセラムの定義、剤型、配合の考え方、そしてその背景にある「手を顔と同じ美容の対象にする」という日本的な発想を、順に書いていきます。
定義、手のためだけに設計された美容液
ハンドセラムとは、手のためだけに設計された美容液です。ハンド美容液、ハンドエッセンス、ハンドセラム。呼び方はいくつかありますが、いずれも同じものを指し、Soie ではハンドセラム(手の美容液)と呼んでいます。
ハンドクリームとの違いは、目的にあります。ハンドクリームは油分の膜で肌表面を覆い、水分の蒸発を防ぐ「保護」を主な目的とします。ハンドセラムは水分と美容成分を主体に、角質層へ潤いとなめらかさを重ね、手本来の輝きを引き出す「美容」を目的とします。
どちらが優れているという話ではありません。役割が違うので、重ねて使うこともできます。順番は美容液が先、クリームが後です。二つの違いは ハンドセラムとハンドクリームの違い で詳しく書いています。
剤型、水分を主体にする理由
セラムという剤型は、使用感に直結します。油分を主体にしたクリームが肌の上にとどまるのに対し、水分を主体にした美容液は、のせた瞬間にさらりと肌に溶け込みます。塗った直後にスマートフォンやキーボードに触れられることは、日中に何度も使うものにとって決定的な条件です。
手は顔よりはるかに頻繁に洗われます。洗うたびに潤いが失われ、そのたびに補う必要がある。一日に何度も塗るものが重ければ、習慣は続きません。ハンドセラムの軽さは、好みの問題ではなく、手という部位の事情から導かれた答えです。
容量が 30mL ほどの小さなボトルであることにも理由があります。デスクやバッグに置き、手洗いのあとに手を伸ばす。その動線に収まる大きさであることが、剤型と同じくらい大切です。
配合の考え方、整肌成分と保湿成分
Soie のハンドセラムの配合は、二つの柱で構成されています。ひとつは EGF・KGF という整肌成分で、全成分表示ではオリゴペプチド-1、オリゴペプチド-41 と記されます。もうひとつは保湿成分で、セラミドEOP・NG・NP・AG・AP の5種のセラミドと、ペプチド類がこれにあたります。
整肌成分が手肌をすこやかに整え、保湿成分が角質層の水分を抱え込む皮脂膜のはたらきを支える。この組み合わせを、スクワランやホホバ種子油などの植物由来の油分と、ローズマリー、アロエ、カミツレ、ラベンダーなど 20 種以上の植物エキスが取り囲みます。全成分の 95%以上は、植物など天然由来の原料です。
成分が肌の中で何をするかを、Soie は語りません。語るのは役割と、塗ったあとの手触りです。塗布直後、三十分後、数時間後。その触感の移り変わりまで設計することが、手のための美容液をつくるということだと考えています。
日本的な発想、手を顔と同じ美容の対象に
一般的なハンドケアは、乾燥や荒れを防ぐ「守るお手入れ」です。Soie が手の美容と呼ぶものは、そこから一歩進んで、潤い・なめらかさ・輝きを引き出し、香りと所作まで含めて手を美しく整える考え方です。手を顔と同じように美容の対象として捉える。この発想が、ハンドセラムという剤型を生みました。
Soie は 2021年10月、東京で生まれました。名前はフランス語で絹を意味し、ソワと読みます。手の美容という一つの分野にすべてを捧げる専門ブランドとして、手の皮膚構造、水分と油分のバランス、血流、香りと神経の共鳴という科学の視点と、所作の美しさという感性の視点の両方から「美しい手」を定義しています。
英語で「Japanese hand serum」と探す人が求めているのは、おそらく製品そのものより、この考え方です。手を美容の対象として丁寧に扱う、という態度。その態度を一本のボトルに収めたものが、日本のハンドセラムです。Hand Beauty の考え方 には、その背景を書いています。
Soie のハンドセラムについて
エンライトハンドセラムは、Soie が手のためだけに設計した美容液です。30mL のボトルに、整肌成分と保湿成分、植物由来の油分とエキスを収め、専属の調香師が創った5つの香りから選べます。敏感肌の方やお子様にも使えるやさしい処方ですが、肌に合わない場合は使用を中止してください。
パール粒一つから二つを手の甲に取り、両手を合わせて広げ、指の間と爪まわりまでなじませる。それだけの手順を、洗うたびにくり返す。ハンドセラムとは何かという問いへの、いちばん短い答えはこれかもしれません。
